■ 2008年11月 ■
「浄土三部経って、なあに?」


「三経」とは一には『無量寿経』二には『観無量寿経』三には『阿弥陀経』なり。(略)
あるいはこの三経を指して『浄土の三部経』と号す。
                      『選択本願念仏集』


 念仏の教えが説かれている三つのお経。
三部経(さんぶきょう)ともいわれている。
正確には
『仏説 無量寿経(上下巻)』
『仏説 観無量寿経』
『仏説 阿弥陀経』
          の四巻からなる経典のこと。

阿弥陀仏とその本願、またその仏国土(浄土)に関する念仏の教えなどが説かれている。
永代経法要で読まれます。
<書かれたのはいつ?>
阿弥陀経と無量寿経は一世紀頃に編纂され成立したとされているのに対し、観無量寿経は中国で翻訳されたものしか残っていないために、成立年代がよくわかっていません。
<なぜ三つなの?>
法然上人が『選択本願念仏集』の中で
 問ひていはく、三部経の名またその例ありや。
答へていはく、三部経の名その例一にあらず。
一には法華の三部、いはく『無量義経』・『法華経』・『普賢観経』これなり。
二には※大日の三部、いはく『大日経』・『金剛頂経』・『蘇悉地経』これなり。
三には※鎮護国家の三部、いはく『法華経』・『仁王経』・『金光明経』これなり。
四には弥勒の三部、いはく『上生経』・『下生経』・『成仏経』これなり。

と述べられ、仏教経典はおおよそ三部経という伝統があることにならい。
いまはただこれ弥陀の三部なり。
ゆゑに浄土の三部経と名づく。
弥陀の三部はこれ浄土の正依経なり。

と『浄土三部経説』が正依の経であると説かれたことに由来しています。
お経の他には、論書では天親の『浄土論』曇鸞の『浄土論註』といわれるものもあります。どれも浄土往生と念仏の教えが説かれた論書です。

※大日の三部・・・・・・・密教で依りどころとする経典。
※ 鎮護国家の三部・・・・・・法然上人在世当時、国家安泰を祈るための経典として、  この三部が採用されていた。