■ 2020年 8月 ■
打敷ってなあに?


 打敷(うちしき)とは、お内仏の前卓(まえじょく=各尊前の机)や上卓(うわじょく=阿弥陀如来前の須弥壇(しゅみだん)上にある机)等にお掛けする、金襴や刺繍などでできた三角形状の上掛けのことをいいます。


打敷は、掛けたままにせず、春秋の彼岸会や、報恩講、降誕会などのご法要がお勤まるときにお掛けすることが本来です。 法要の時など特に丁寧におつとめすべき法会にお掛けします。その法要の軽重によって打敷の種類を替えることもあります。
また夏用の「紗」や「呂」などの薄手のものや、冬用の厚手の生地のものもあり、それぞれ季節に合わせて衣替えするのも良いでしょう。


<打敷の起源>
 辞典によると、お釈迦さまご在世の時代まで遡ります。その様子を記した教典によれば、「種々の天の妙服衣をもってその座上に敷く」や「無量の宝を以(もっ)て、周匝細飾(しゅそうさいじき)し天の妙衣(みょうえ)を以(もっ)てその上に敷く」などと説かれ、お釈迦さまが説法される高座を珍宝や妙衣で荘厳したと説かれています。これが打敷の起源であろうともいわれています。?
また、『仏説無量寿経 巻下』の『東方偈(とうぼうげ)』には


一切のもろもろの菩薩、おのおの天の妙華・宝香・無価(むげ)の衣を齎(も)つて、無量覚を供養したてまつる。

とあり、十方微塵世界の無量の菩薩衆が阿弥陀如来のみもとへ往覲(おうごん)し、その極楽世界の微妙にして不可思議尊の荘厳(しょうごん)を観て、自分たちの国土もこのようにありたいと願って阿弥陀仏国を称讃(しょうさん)されます。
そして、これらの菩薩衆は阿弥陀如来を麗しい香華(こうげ)や尊衣をもって供養するのです。ここに、「無価(むげ)の衣」つまり「何物にも代えがたい尊い衣」とあります。
これらの表現は釈尊ご在世の時代、人々の布施行により頂戴された布を縫い合わせ袈裟(けさ)が作られましたが、それらの尊い布施が「無価(むげ)の衣」ということではないでしょうか。
お釈迦さまのみもとをお飾りしてお迎えしたいと願った仏弟子達の思いが形として現れたものと言えるでしょう。

<お内仏の荘厳>


 平時には木でできたロウソク(木蝋)を挿し、輪灯に火を灯します。ただし、輪灯が今日のように電気の場合はロウソクに火を灯します。 下写真のように向かって左に花瓶(かひん)・中央に香炉・右側に鶴亀燭台をおきます。
ただし、平常時は三角の布(打敷/うちしき)はいたしません。
中陰の場合は、色のついた打敷を使用せず、白や無垢の無地のものをもって荘厳します。
左の写真の打敷は夏用のものです。