■ 2009年3月 ■
「出家って、なあに?」
【出家/しゅっけ】
世俗の生活を捨て、僧となって仏道を修行すること。また、その人。(広辞苑)
剃髪(ていはつ)して袈裟を被い、僧侶となること。
一方、出家をせずに修行するもののことを在家(ざいけ)とよぶ。
<はじまり>
インドでは、紀元前5世紀ごろ、バラモン教の伝統的修行方法からはずれて修行する沙門(しゃもん)と呼ばれる修行者があらわれはじめます。
その者たちは、さとりへの道を求めて禅定や苦行などの修行にいそしんだといわれています。
そうして、有力な沙門の下には多くの弟子が集まるようになり、出家者集団を形成したました。
釈尊もその沙門の1人でした。
仏教における出家の伝統はこれに由来しています。
紀元前1世紀頃に始まった大乗仏教においては、菩薩(ぼさつ)による衆生済度(しゅじょうさいど)の観点から、出家のみではなく、在家であることの意義も積極的に認められるようになりました。
【出家の意義】
「家」は世間をあらわしています。つまり、地位や名誉や財産、家族や社会などに縛られ苦しめているものから解放させることを意味しています。
また、「家」は「自我」を象徴し、そういった自分中心な心(煩悩)からの解放をも意味しています。
人間は自己中心に生きるあまり、自他共に傷つけ、それがゆえに本当の幸せを見つけ出せず苦しんでいます。
そういった欲の一切を捨てて、生涯をかけて自利利他に生きる道を探し求める修行者を『出家』と呼びます。