■ 2010年8月 ■ <中陰> <語呂合わせと忌み言葉> <物忌しない>
「中陰が三カ月にまたがるって、なに?」
● 亡くなられてから約50日間を『中陰(ちゅういん)』といいます。その間は七日ごとにお勤めをし、最後の七日の勤めが49日目に当たることから一般に『四十九日』と言われています。あるいは『満中陰』ともいい習わされて来ました。
月の前半に亡くなられたら、中陰は2ヶ月で終わります。しかし10日以後に亡くなると、どうしても三カ月にまたがります。これを地域によっては「四九=苦死」が「みつき三月=身に着く」ということを連想させるため、忌み嫌うということがあるのだそうです。
●これは語呂合わせの忌み言葉と云われ、全く意味のないものです。しかし、何故そのような忌み言葉が用いられるようになったのでしょう。
この「忌み言葉」を辞書で調べてみると、『信仰上の理由や、特定の職業・場面で使用を避ける言葉。不吉な意味の語を連想させる言葉、特に死や病気に関するものが多い』とあります。死を連想させる言葉には、数字の「四」があります。病院によっては4号室、9号室といった「四」・「九」のつく病室がないところもあります。これは日本語を話す人の間でしか通じませんので、万国共通の概念ではないと言うことがお分かりでしょう。
この忌み言葉は、少なくとも千年以上も前から、神事において用いられていたといわれています。特定の神社で伝統的な神事を行うとき、例えば仏教用語などは言い替えて表現するように定められていたことが、文献にみえます。古来、忌み言葉は表だって言いはばかれる言葉を別の表現に替える工夫だったのです。
● 古くから「(真宗)門徒、物(忌)知らず」と他宗から揶揄されてきました。しかし、本来はものいみ物忌しないのが仏教のはずで「経典にもそう書かれている」と、蓮如上人は繰り返し云われています。これらのことから、「三月にまたがる」「35日で切り上げる」といったことは全く根拠がない迷信であるとも言えますので、気にする必要はありません。
ものは考えようです。どうしても四十九日で終わりたくない人は、いっそのこと一日前倒して四十八日で終わらせれば阿弥陀如来の本願(四十八願)になりますから、かえって良いご縁になるかもしれませんね。
(文は法蔵館出版『門徒もの知り帳(上)』90頁を一部参照いたしました。)