■ 2020年 2月 ■
献杯ってしないの?
法事をつとめた後、食事をしますが、そのことをお斎(おとき)と呼びます。その際に昨今では「献杯(けんぱい)」という行為をよく見かけるようになりました。
爾来、仏教では禁じられた行為と率先して行うべき行為を定めたられた「戒律(かいりつ)」というものがあります。
「飲酒」は「殺生」と並ぶ禁止行為の代表として「不飲酒戒(ふおんじゅかい)」と呼ばれています。
その理由は飲酒をすることによって悪心を招く原因になるといわれています。まことにその通りで、食事を楽しくいただくことは大変大事なことですが、その楽しさの中に殺生をしていることを忘れさせたり食べ物を放埒にして貪ったりしてしまうこともあります。
それらは善心の妨げになるなどの観点から、仏事の際には酒を飲むことが戒律として禁止されていました。
<献杯はそもそも仏教の儀式ではない?>
以上の観点から、仏事の際にはで飲酒をすることがありませんでした。
一方、神事においてはお酒は穢れを払い、禊(みそぎ)をして神に献げるという行為があるようです。献杯はそこからきたともいわれています。
したがって、仏教徒はお酒を飲むという儀式や習慣が作法としてないことから献杯はしないといわれています。
<では、食事はどのようにしていただくの?>
ー合掌していただくー
お斎は仏事の一つとして昔より大事にされてきました。
仏事ですから、その際には「献杯」はせず「いただきます」と合掌していただくよう、普段の食事の時から習慣づけることが大事ではないでしょうか。
【食前のことば】
み光のもと、われ今幸いに、この浄き食をうく いただきます
【食後のことば】
われ今、この浄き食を終わりて、こころ豊かにちから身に満つ ごちそうさま