■ 2020年 9月 ■
須弥壇ってなあに?
須弥壇(しゅみだん)とは、真宗寺院の内陣(ないじん)や各家庭のお内仏の中央にある阿弥陀如来を安置する台をいいます。
その形は実に大変ユニークで、中程はくびれており独特の形をしています。
<由来>
元来、仏教の教理ではなかった古代インド人が考えていた世界観から派生したものです。
ー須弥山説(しゅみせんせつ)ー
古代インドの人々は世界の中心に地上の神々が暮らす聖なる山である須弥山(しゅみせん)がそびえていると考えていました。
その山の中腹には四王天(持国天・増長天・広目天・多聞天)の神々が住み、その頂上には帝釈天(たいしゃくてん)が住んでいると考えられていました。
ー仏教の世界観ー
しかし、これら古代のインド人が考えていた須弥山世界はあくまで迷いの世界であり、仏の境界ではないと仏教徒は考えていました。これらを上手に取り込んで仏教の教理が成立してきます。
仏教では神々や天人たちは仏教を守護している存在であると説きました。
そこで浄土真宗は、この伝統されきた須弥山説にのっとり、それを模した須弥壇の上に阿弥陀如来を安置する形式が取られました。
これは私達の迷いの世界(須弥山世界)に阿弥陀如来(真実)が権化(仮の姿)として現れている様子が表現されていて、大変味わい深いものです。
また、須弥壇中程のくびれたところには、獅子や龍などの彫り物が施されています。
これらは全て仏法を誹るものや無きものにしようとする邪教から教えを守護している須弥山世界の住人たちなのです。
その須弥壇の上にまします阿弥陀如来は、この世を象徴する神々や天人たちを真実の教えに目覚めさせることによって、生きとし生けるものすべてを救おうという大慈悲を伝えています。
そういうことから阿弥陀如来の威徳を現す仏具として、お寺の内陣や各家庭のお内仏の中央には須弥壇が安置されているのです。