■ 2020年 11月 ■
お仏壇にお水は供えるの?
上卓(うわじょく)には、水をいれる仏具である華瓶(けびょう)と火舎香炉(かしゃごうろ)を置く。
1、「お仏壇」とは何か
他の宗旨のご家庭のお仏壇を時々うかがうことがあります。
そこでは記憶のあるご先祖の数だけ水やお茶が入った湯呑みなどが並べられているのを見かけます。
その作法が宗派で定められているものなのかはわかりせんが、その心を推し測ってみますと、「亡き人も喉が乾くのでは?」という人情からきているのではないかとおもわれます。
確かに亡き人に対する思いやりは大切であり、そう簡単に亡き人に対する思いが断ち切れるものでもありません。
しかし、そこでもう今一度よく考えていただきたいのです。
もし、お仏壇が死者をまつる入れ物であるならば、なぜ「仏壇」という名称で呼ばれているのでしょうか。
また、お墓とお仏壇の区別はどのように考えればいいのでしょうか。
2、「私たちから」ではなく、「仏さまから」いただく。
本来、お仏壇は仏さまの教えを伝える。あるいは教えを受け取るためのツールです。
したがって表現をかえて申せば、お仏壇は「目で見るお経」といってもいいかと思います。
この「目で見るお経」という表現はどういう意味かといえば、お仏壇は「お経を具体的なかたちとして再現されたもの」であるということです。
そういったことから、お仏壇のあり方は私たちから仏さまの方へ何かを差し向けるのではなく、仏さまの方から教えが説かれているのです。
3、「お水を供える」のは仏さまの説法
お経に説かれている仏さまの世界(浄土)の特徴の一つに「八功徳水(はっくどくすい)」をあげることができます。
その世界は常に、この上なく清浄で美しい八つの徳をもつ水に恵まれ、その世界に生まようと願うあらゆる者を清浄ならしめんとする用きを有していると説かれています。
4、華瓶に樒をさす実際的な効果
華瓶(けびょう)に樒(しきみ)をさした際の実際の効果として、樒は腐敗を防く効果や香りを与えるといわれてもいます。