■ 2021年5月 ■
宮殿 くうでん って、なあに?」


 ご本尊を収める屋根付きの荘厳具で、仏さまの宮殿という意味から仏堂形式の厨子を「宮殿」と呼び習わされてきたとされています。
奈良時代以前の日本では、「厨子」という言葉がまだ使われておらず、「仏龕」ぶつがんと呼ばれた時代もあります。
日本最古の宮殿形厨子は法隆寺の「玉虫厨子」や「橘夫人念持仏厨子」たちばなふじんねんじぶつずしが有名です。

経典などにも宮殿の言葉は見られ、天親(世親)の『浄土論』には
「宮殿諸楼閣 観十方無碍 雑樹異光色 宝蘭遍囲遶」
とも示され、さらに古くは「浄土三部経」にも随所に浄土の荘厳(風景・情景)の功徳として描かれてもいます。
そういったことからも解るように、ただの豪華さを演出する飾りではなく、浄土世界の功徳を表現したお内仏の機構として大切な仏具の一つでもあります。