■ 2022年 3月 ■
輪灯(りんとう)ってなあに


輪灯は宮殿(くうでん)の前に吊り下げて使用する灯明具です。
油皿の中に灯明油を注ぎ、その中に灯芯を入れ、火をつけます。
全ての仏事において使用される灯明具で、欠かせない荘厳(しょうごん)の一つです。
しかし、輪灯がない場合は鶴亀燭台にローソクに点灯しましょう。(ローソクは朱が基本ですがない場合は白でも可)

 <灯明を灯す仏具>

<電気ではなく、火を灯すことに意義がある>
今日ではお内仏のお明かりの多くは電気に代わりました。
以前、仏具屋さんに買い物に伺った際「お明かりを灯す灯明用の油と灯芯を購入したい」と尋ねたところ、こういう答えが返ってきました。
「電気がない時代は本火を灯していましたが、今は電気があるから電気なんですよ」というのです。
なるほど仏具店の店員さんでもそう考えるのですから、電気になっていくのは当然だなと、逆にこちらの方が納得したものでした。
しかし本来、お内仏の荘厳において灯明は「法灯」ということを教えるためであったり、「無明の闇を破る智慧のはたらき」という意味もあり、本火を灯すことに意義があります。
ですから電気を点灯させるのは暗いから明るくするためではないのです。

しかし、実際は一般家庭において輪灯は電気になり、多くの場合は蝋燭にのみ火を灯しています。


<本来の作法>
お勤めの際には必ず点灯します。
 また平常時の基本は鶴亀燭台(つるかめしょくだい)には木蝋(木製の朱蝋燭)を使用し、輪灯にのみ点灯します。
輪灯には灯明油を入れ、灯芯を使って点灯します。


<なぜ輪灯に灯すの?>
1、     
お内仏は毎日使用するものですから、毎日蝋燭を使用すればお内仏が煤けてしまったり金箔などの劣化しやすいこともあるようです。
輪灯の場合、毎日使用すれば煤は溜まりますが、真鍮部分だけですのでお磨きをすれば汚れは綺麗に拭き取ることができます。
2、      

<灯す意義>
お内仏の仏華は「いのち」をあらわし、灯明は光をあらわすといわれます。あるいは仏華は慈悲・灯明は智慧をあらわすともいわれ、荘厳としてはとても大切にされてきました。