字:住職 亀井 廣道
■ 2006年 5月 ■
すべての者は暴力におびえ
すべての者は死を恐れる。
己が身をひきくらべて
殺してはならぬ
殺さしめてはならぬ
暴力によって、人間が人間であることを失ってしまった20世紀、その戦争と革命の時代が終わって、やっと安定した静かな時代を迎えたいと期待していた21世紀において、ますます危機は深まってきています。
近代15年戦争、それは世界中にとてつもない殺戮と破壊、それに経済格差を起こし、敵意と恨みは人類全体に深い禍根を残しました。
『日本国憲法』はその痛みへの懺悔から生まれた珠玉の法です。「世界遺産」となっても、不思議ではありません。日本人はもちろん、地上の命あるもの全ての宝物というべきでしょう。
この法のもと、戦後60年もの間、一度も他国の国民に銃口を向けないですんだ日本人の国が、なんと「平和のための戦争」ができる国になろうとしています。
「憲法改正」をめざす政府の考えは、平和をつくるために日本が戦闘行為をすることは正しい、こう正当化しようとしています。
かつての戦争で、殺された人々、殺させられた人々、身心に深い傷を負った人々にどう説明がつくでしょうか。
憲法9条の改変の動きは現代日本の「闇」です。このことに国民こぞって気づくべきです。今日の世界情勢は「やられたらやりかえす」・・・・・・「やられるまえにやってしまう」こういう悲しい時代です。
これではいつまでたっても戦死者もわれわれも、未来の子供達も安らぐことはできません。